東日本大震災から12年が経過した。農家、漁師、酒蔵など、各地に避難していた生産者たちが福島に戻り、浪江町には少しずつ活気が生まれはじめている。浪江の農産物は、首都圏の一流レストランに選ばれるなど、その品質はお墨付き。しかし、震災による風評被害や、知名度の低さがハードルになり、真の美味しさは消費者にまだ伝わっていない。風評被害を乗り越えて、真の美味しさで選ばれるために何ができるだろうか。
消費者と生産者の交流を生み出す
ガッチ株式会社は、消費者と生産者の交流を促し、浪江の食を味わってもらうことで、浪江の農産物や食材の品質や魅力を伝え、知名度を向上させる体験型イベント「浪江町収穫祭」を企画した。インフルエンサーと連携して発信することで、取り組みが循環する全体像を描いた。
昼はカジュアルに、夜はラグジュアリーに
浪江町の食の祭典「浪江町収穫祭」は10月7日・8日に開催。昼と夜の2部構成で、和食や洋食など様々なジャンルで活躍する一流シェフによる地産食材を活用した料理が提供される。会場の「道の駅なみえ」は観光情報が集う拠点であり、地産食材を購入することもできる。
昼の部は「僖ニ成ル食 京橋(東京)」「居酒屋ちょーちょ(仙台)」「貝と魚と炭び シェルまる(仙台)」など、有名飲食店6店舗が浪江産食材の限定メニューを展開。浪江町内の飲食店も出店し、「浪江町収穫祭」を地域全体で盛り上げる。
一流レストランに選ばれる品質の高さを伝えるために、夜はラグジュアリーな雰囲気で開催。東北の食材を知り尽くしたいわき市「hagi」の萩春朋氏、「銀座茂松」で腕をふるう浪江出身の松原茂之氏、浪江で「ジョワイストロナミエ」を開店した無藤哲弥氏が贅を凝らしたスペシャルディナーを用意。双葉町出身の熱燗師髙崎丈氏が浪江の酒蔵鈴木酒造の特別酒とのペアリングを行った。
タイとインドネシアに、浪江を発信する
ターゲットは日本国内に留まらない。続く10月16日・17日には、タイとインドネシアで活動するインフルエンサーや、様々なジャンルで活躍する飲食業界関係者を招き、浪江町の食の生産者ツアーとスペシャルディナーを開催。生産者や地産食材を活用したレストランを訪れ、彼らが感じた浪江の食の魅力を発信した。
風評被害を払拭するためには、長い時間をかけた地道な取り組みが求められる。「浪江町収穫祭」は、今年も開催が決定している。浪江の生産者と消費者をつなぐ場としての「浪江町収穫祭」は、いま大きく成長しはじめている。