生活雑器としての道を歩みながら、用と美を確立している「小石原焼」。2,000人ほどの小さな村で生産されている「小石原焼」には、協力しあい機運を高めていこうとする窯元同士の繫がりがある。地元九州を中心に暮らしの中で愛され続けてきた「小石原焼」を、東京や世界に発信したいと、連携して新たにブランドを立ち上げることとなった。
ガッチ株式会社は、補助金「JAPANブランド育成支援事業」を活用し、小石原焼のブランド「KOISHIWARA HOMES」の総合プロデュースを行った。
同じ形でつくることで、ブランドを確立する
「小石原焼」は、1682年に筑前福岡藩・3代目藩主が、磁器の生産が盛んだった伊万里にならい、焼物を作り始めたのが起源とされている。1669年から同茶陶を手がけていた高取焼との交流により発展し、陶器が作られるようになった。
ガッチ株式会社の松永がターゲットと定めたのは台湾。暮らしの中で愛される、民芸のような素朴な味わいを持つ小石原焼は、繊細な美意識を持つ台湾に受け入れられるのではないかと考えたのだ。新ブランドとして認知されるために、共通の形を決めて、色や素材など各窯に工夫をしてもらう形で商品をつくることにした。
「KOISHIWARA HOMES」が表現する、暮らしの大切さと、窯元の絆
ブランド名の「KOISHIWARA HOMES」は、開発当時コロナ禍の感染拡大の最中で、日々の暮らしを丁寧に生きることの大切さが再確認されたことから命名した。しかし、同じ形で色や素材で窯元の工夫が活かされた作品群は、団結して次の世代へとつなげようとする小石原焼の窯元たちの家族のような絆を象徴するものにもなった。
コロナ禍のため、発売当初は台湾での販売は叶わず、ガッチ株式会社のECサイト「縁起屋」で販売を行った。しかし、サンプルを送るなど工夫を積み重ね、少しずつ海外からも買い付けが増えてきている。
商品は作り手の生き方を表現する。小石原焼の窯元の生き様から生まれたブランド「KOISHIWARA HOMES」は、いま世界へと羽ばたこうとしている。