福島県県南地域に点在する陶芸、歴史、食の魅力を、一つの旅としてつなぐ体験型ツアー「県南悠然陶芸紀行」。西郷村地域モノづくりの会は、2025年秋に日帰りと1泊2日のモニターツアーを実施した。大堀相馬焼の器づくり、南湖公園の散策と茶道、着物、白河の食文化を組み合わせ、国内外の参加者が地域のつくり手と接する行程を設計。SNSを通じた発信までを一体で進め、県南の文化資源を「見る」だけで終わらない観光体験へと編み直した。

点在していた県南の魅力を、一つの旅として編集する
福島県県南地域には、大堀相馬焼の窯元、南湖公園に受け継がれる歴史、茶道や着物、白河ラーメンをはじめとする食文化がある。一方、それぞれの資源を個別に訪れるだけでは、地域全体の物語や、文化を支える人との関係まで伝えることは難しい。
西郷村地域モノづくりの会は、これらを横断して体験するツアー「県南悠然陶芸紀行」を企画した。対象は、首都圏など県外から訪れる人と、日本文化に関心を持つ外国人。2025年10月22日に日帰り、11月7日から8日に1泊2日の行程を実施し、延べ8名が参加した。

土に触れ、職人の仕事を知る。大堀相馬焼の陶芸体験
ツアーの核となったのは、松永窯といかりや窯での大堀相馬焼の陶芸体験だ。参加者は職人から工程の説明を受け、器づくりに取り組んだ。完成品を鑑賞するだけでなく、土に触れ、形をつくり、模様を施す工程へ入ることで、伝統工芸を自分の手の感覚から理解する時間を設けた。
地域の店舗では作品の鑑賞と購入の機会もつくった。体験と買い物を分けず、つくり手の説明を聞いたあとに作品と出会える流れにすることで、工芸の背景と日常で使う価値を結びつけた。

着物、茶道、南湖公園。歴史の舞台で文化を体験する
陶芸体験に続き、参加者は着物に着替え、南湖公園を散策した。白河藩主・松平定信が「士民共楽」の理念のもとに築いた南湖は、身分を越えて人々が楽しむ場として受け継がれている。ツアーでは景観を見るだけでなく、翠楽苑で茶道を体験し、器、所作、庭園、歴史を一つの場面として味わう構成とした。
さらに、白河ラーメンや小判鮨など、地域を代表する食文化を行程に組み込んだ。文化財、工芸、食を別々の観光メニューとして並べるのではなく、地域で過ごす一日の流れとしてつないだことが、このツアーの特徴である。

2回の実証で、発信力と次の改善点を確かめる
2回のツアーには、福島県外在住の日本人5名、外国人3名の計8名が参加した。SNS広告と海外旅行インフルエンサーによる発信を組み合わせ、投稿の総インプレッション数は217,844件を記録。参加者アンケートの満足度回答は、5段階評価ですべて4または5だった。ツアー中には作品購入やSNSフォローも生まれ、来訪後も地域との接点が続く可能性を確認できた。
一方、多言語での案内、屋外行程の季節対応、発信から予約・参加へつなげる導線には改善の余地が見えた。次の段階では、季節や対象別にテーマを明確にした企画、宿泊を組み込んだ滞在型プログラム、高付加価値プランを検討している。ガッチ株式会社は、本事業に関する補助制度調査を担当した。
関連情報は、大堀相馬焼 松永窯、白河市公式「南湖公園」、千駒酒造公式サイトでご覧いただけます。
これまでの成果
- 開催回数
- 2回(2025年10月・11月)
- 参加者
- 延べ8名(日本人5名・外国人3名)
- 情報発信
- 総インプレッション217,844件
- 参加者満足度
- 5段階評価の回答がすべて4または5
