ものづくりに携わる事業者は、とにかく忙しい。そのため、パンフレットやウェブサイトなど、事業を振り返り、言葉や形にして伝えるツールの製作が後回しになってしまう。しかし時間をかけることで、新しい顧客に出会うことができる。そして、これまでやってきたことを振り返ることで、さらに先へと進むことができる。
ガッチ株式会社は、大堀相馬焼「いかりや窯」のブランディングとECサイト・パンフレットの構築にたずさわった。
言語化しづらい価値も、伴走で引き出していく
「いかりや窯」は、江戸時代から続く「大堀相馬焼」の窯元。現在の浪江町大堀で宿屋を営んでいた際に、当時の相馬中村藩主が立ち寄り「此の地に如何なる事があっても流される事なく留まれるように」と「錨屋」の屋号を戴いた。創業より330年、浪江町大堀で製陶業を営んでいたが、2011年東日本大震災で起きた原発事故により福島県白河市に避難。2013年より同地で事業を再開している。
「なんでもいいよ、任せるよ」といかりや窯当主の山田氏の言葉を受けて、ガッチ株式会社の松永は、山田氏の趣味や好きなものから伴走を始めることにした。「昭和40年」「石原裕次郎」など、コンセプトシートを整理していくと「親しみやすさ」「遊び心」というキーワードが浮かんでくる。イメージに合わせてデザイン案を作り、繰り返し話し合うなかで、大切にしたいものとお客さんに伝えるべき世界観の交差点を見いだしていく。
共に考え、合意形成を行うことで、新しい価値をつくる
「錨屋窯」がこれまで培ってきた伝統を大切にしながら、価値を提案できるシックで遊び心を持ったパンフレットとECサイトが完成した。ともに考え、合意形成を繰り返すことで、これまでやってきたことや伝統を大切にしながら、新しいニーズに出会うことができる。ガッチ株式会社は、丁寧な伴走を通して、ものづくりの事業者さんとともに「伝統創生」を行っていきたい。