戦国時代(1600年)の文禄・慶長の役の際、黒田如水・長政公に請われて海を渡った、名陶工「八山」。現直方市にある鷹取山の麓に、彼が築いた永満寺窯が「髙取焼」の始まりである。黒田藩御用窯として、多くの銘品が生み出されてきた。
初代から直系で、「八山」を受け継ぐ髙取焼宗家。ガッチ株式会社は「高取焼宗家」のウェブサイト、ECサイト、パンフレットのリニューアルとブランディング、補助金申請など、総合プロデュースを行った。
伝統に敬意を払いながら、新しい出会いをつくる
伝統と格式を持つ髙取焼宗家のブランディングを考える際に心がけたことは、「奇をてらわないこと」。
400年を越える長い歴史のなかで、幾度も姿を変えてきた高取焼。開窯当初の器は、破調の美を特徴とする『古髙取』と呼ばれていたが、江戸時代に徳川将軍の茶道指南役であった小堀遠州公により指導を受け『綺麗さび』と表現される瀟洒で洗練された美意識を受け継ぎ『遠州髙取』と呼ばれるようになった。
この『綺麗さび』を「洗練されている」「垢抜けた美しさがある」「優美で均整のとれた造詣」と解きほぐすことから、ブランディングのイメージを固めていく。焼き物に造形が深いガッチ株式会社ならではの「髙取焼」の業界における立ち位置もマッピングしていく。伝統からぶれずに、本質的な意味を問い返し、イメージを形にしていく。
新しい顧客にも出会うことができるように、用途別に「茶」「花」「食」とECサイトの入り口を分けた。また、自走して更新が続けられるように、カメラマンとともに現地を訪れ、ブランディングに沿った写真撮影の方法のレクチャーも行った。
ECサイトで、「髙取焼宗家」は一点ものの焼き物の販売を続けている。このご縁で、ガッチ株式会社の運営するECサイト「縁起屋」での取り扱いも行うようになった。420年続く唯一の直系窯である髙取焼宗家は、その魅力を世界へと発信し続けている。