奄美群島内でしか造ることができない特産品として受け継がれている「奄美黒糖焼酎」。日本国内のみならず、海外への販路を拡大するために取り組んだプロモーション戦略とは?
歴史に翻弄された「奄美黒糖焼酎」
奄美群島の特産品として愛飲されている「奄美黒糖焼酎」。
奄美での焼酎製造の始まりは定かではない。しかし、17世紀初頭に薩摩藩の支配下に置かれた後、焼酎の貢納が命じられていることから、この頃には既に琉球王朝から蒸留の製造技術が伝わっていたと考えられる。
奄美では焼酎は味噌や醤油同様に家庭で造るものであったという。明治の新政府により酒造の免許制が始まり、製造に届け出と免許料が必要となってからも、様々な原料を用い自家用焼酎が造られていた。
戦後、アメリカ軍政下におかれた奄美では、本土と切り離されて流通が制限され、不足する米の代わりに、黒糖が焼酎造りに多く使用されるようになった。これが、現在の奄美黒糖焼酎につながっている。昭和28年、奄美群島が日本に復帰するにあたり、酒税法の特例通達で、米こうじを使用することを条件に、奄美群島だけに黒糖を使った焼酎製造が認められたのだ。
波瀾万丈な歴史を経て、今もなお「奄美黒糖焼酎」は奄美群島内でしか造ることができない特別な逸品として受け継がれている。
カクテルレシピで世界に羽ばたく
奄美黒糖焼酎(奄美大島酒造協同組合)は、2018年度、2019年度の2度にわたり、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の「地域団体商標海外展開支援事業」に採択された。これは、地域団体商標(地域ブランド)を付した商品やサービスの海外展開において、海外向けブランド戦略の立案、海外でのプロモーション・販路開拓活動などを支援し、地域の産業活性化や、地域資源の一層の活用を促進させることを目的とするものである。
ガッチ株式会社が参画したのは、そのうち、海外向けのプロモーションだ。奄美黒糖焼酎を使ったカクテルのレシピ動画公開に向けてのマーケティングおよび動画のディレクションを支援した。
動画では、著名なミクソロジスト(フルーツやハーブなどとスピリッツなどを組み合わせるミクソロジーカクテルをつくるバーテンダー)である南雲主于三氏が、実際に奄美群島の蔵元を巡り、奄美黒糖焼酎でしか作れないカクテルのレシピ考案と制作を実演。奄美黒糖焼酎を使ったカクテルのレシピ動画5本を制作し、YouTubeチャンネル上で公開した。
動画は1本あたり4~5分ほどの長さで、英語字幕で奄美黒糖焼酎の特徴や、それぞれの特徴に合わせたカクテルの作り方を紹介。奄美黒糖焼酎のカクテルベースとしての可能性を世界のバーテンダーに伝え、奄美黒糖焼酎への関心を高める内容に仕上がった。
【公開サイト】
YouTubeチャンネル:Amami Kokuto Spirits Channel
»https://www.youtube.com/channel/UCuZkNaKJZWIhFyI7_IPMTMQ
【公開日】
2020年3月13日(金)
【動画】
1.レギュラータイプ「Regular Type (Yu-wan)」
»https://youtu.be/GqzUBa85Wqo
2.原酒タイプ「Unprocessed High Proof Type(Rice cake)」
»https://youtu.be/pH2xnCgDTGA
3.原酒タイプ「Unprocessed High Proof Type(Rurikakesu)」
»https://youtu.be/IFPkw02mHEk
4.熟成タイプ「Aging Type(Trad eggnog)」
»https://youtu.be/kU9ESFa2tA4
5.はなだれタイプ「First Drop(Hanadare)Type(Emlus)」
»https://youtu.be/eklodyVdSel
【参考サイト】
奄美大島酒造協同組合
http://www.kokuchu.com/history.html
これまでの成果
- 再生数
- 合計25,000回(2020年4月末時点)